先生
「みんなー、卒業パーティーいこかあ!」
「いこいこー」
彩花達は学校を背に歩きだした。






佐恵子と由香里の後ろで、少し遅れて歩いていた彩花の隣に百果がきた。
「彩花、がんばったな」






その言葉と同時に、彩花の目からは大粒の涙が溢れた。


「あたしっ、ひっく、、、、、、ほんまに、ほんまに大好きやったよっ、、、。先生のこと、、、大好きやったっ」



そう。本当に大好きだった。

先生に出会うまで、まだちゃんと人を好きになったことがなかった。
自分に好意を持ってくれている人を好きになっていた。
あたしのことが好きな男の子が好きだった。
人を自分から好きになることなんてなかった。

本当の“好き”を知らなかった。

そして出会った西本先生。
初めて、“好き”を知った。

人を想うことが苦しいってことを初めて知った。

本当の初恋。




先生の笑顔が大好きだった。
先生の声が大好きだった。
先生の男らしい体が大好きだった。
先生の優しいところが大好きだった。
先生のおもしろいところが大好きだった。

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