先生
「目が腫れてて、先生にみられたくないんです」
彩花はボソッと答えた。
やっと出た声だった。

先生は顔を彩花から離した。
「なんで腫れとんの?」
先生の声のトーンが少し下がった。
空気が重くなるのは避けたい。
彩花はわざとふざけた口調で答えた。
「あたしにもいろいろあるんですー」
「、、、、、、、。まあ、若いうちにいろんな経験しろよ。」
先生の大人びた言葉に彩花はなんだか年の差を感じた。
なんだか切ない。

そんな気持ちを振り払うために、彩花は何か話題を考えた。
そんな時、一番に頭に浮かんだのは朝聞いた先生の彼女のことだった。
「先生」
「なに?」
「先生、彼女おる?友達にきいたんやけど、田辺が先生のデート現場目撃したって…」
布団からチラッと先生を見ると、先生は少し呆れた表情をしていた。
「あれは彼女じゃない(笑)っていうか、彼女今はおらんし(笑)あれは妹。朝から同じ質問すっげーされたしな(笑)」
そう言うと、先生は頭をポリポリかいた。
「ほんまにぃ〜?」
「ほんまほんま(笑)」
先生は苦笑いを浮かべた。
ほんまに、、妹なんかな?
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