先生

ぜんぶ好き

あれから、美羽と先生の噂は消えていった。
ただ、美羽と先生の仲良が良いのは変わらず、美羽が西本先生を好きなのは確実だった。

「でさあ!この前、、、、、、やから、、、まぢで、、、」
「アハハハっ、、、、、、先生、、、、、、」


今日も喋ってる、、、。

かすかにしか聞こえない、西本先生と美羽の会話を彩花は必死に耳を澄ませて聞いていた。

あたしも喋りたいよ先生、、、。


季節は本格的に冬になってきた。
彩花は受験生という立場もあり、部活にもほとんど顔を出さなくなった。
いや、出せなくなった。
理由は、彩花たち3年生を担当している先生達に、部活にいくなと怒られたからだった。
受験生であるし、引退した立場、言い返す言葉もなく、彩花たちは渋々部活へ行くのを諦めた。
そうすると、今まで以上に先生との関わりも減って、さらに先生にとって、彩花は“生徒”という存在だけになった。

先生と仲良く話す美羽が羨ましい。

そう思う反面、なかなか距離を縮められない。行動にうつせない。
そんな自分や、仲良く話す二人の姿に、彩花はひどく落ち込んだ。


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