先生
体育館の入り口には、西本先生もいた。
「早よしろよー、閉めるぞー」
先生はドアから少し顔をのぞかせて、鍵をふった。
心臓が大きく動いた。
「あ!は、はいっっ」
彩花は慌てて体育館から出た。

どんどん顔が赤くなるのがわかる。

先生を見ることが出来ない。


さっきまで泣いていたのに、やっぱり先生に近づくと、ただ嬉しくてドキドキした。

彩花は、鍵を閉める先生の横顔を見つめてみた。

決してかっこいいとは言えない顔。

性格も完璧ではない。

でも、そんな先生に彩花はやっぱりドキドキした。

さっきまで辛くて泣いていたのに、先生を隣に感じるだけで、笑顔になった。





あたし、重症だなあ。
なんて思いながら、彩花は体育館をあとにした。
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