先生

期待

冬休みは、部活もない彩花にとって、暇以外の何でもなかった。
本当は間近に迫った私立高校の受験に向けて勉強しなきゃいけなかったけど、勉強する気はまったくおきない。

「はあ〜」

勉強しやなあかんよなあ〜。
落ちたらどうしよ〜


とりあえず、少し、教科書を開いてみた。

χとかуとか、見るだけでテンションが下がる。
彩花は教科書を閉じると、ヒーターの温度を上げて、ベッドに横になった。

先生今頃なにしてんやろ。

彩花は、部活を引退したときにみんなで撮った写真を手に取った。
大好きな先生の笑顔の隣で、涙で濡れた自分の笑顔。

「あたしぶっさいくやなあ」


そう呟いた時、電話が鳴った。

今、家には彩花しかいない。

彩花は渋々立ち上がると、電話を取りにリビングへ降りていった。


「はい、一ノ瀬ですけど」






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