先生

それからの彩花は、先生中心の人間になった。
授業中も考えることは先生のことばかり。
先生に一目でも会いたくて、職員室の前をなるべく通るようにしたり、体育館までの渡り廊下で先生が通るのをまったり。
朝の通学路も大嫌いな授業も友達と騒いでいる休み時間も放課後も帰りの道もお風呂でも先生のことばかり。
音楽を聴いたり小説を読んだりドラマを見ていても、セリフだったりフレーズで、いつも頭に浮かぶのは先生。
毎日毎日、先生との時間が増えていくほど、先生を思い出す時間が増えるほど、彩花は先生を好きになった。