先生
職員室に先生はいなかった。
彩花の気分はいっきに下がる。
会いたかったなあ。
そんなことを思いながら職員室を出ようとしたとき、突然視界が暗くなった。それと同時に誰かにぶつかった。
「わっ」
彩花は背が低いから、相手のお腹あたりにぶつかった。
「す、すいません」
微かに鼻をかすめた汗の匂いと目に入ったジャージに彼女は慌てて顔を上げた。
目の前には会いたかった先生の顔。
「ごめん。彩花、大丈夫か？」
彩花がぶつかったのは西本先生だった。
「ぜんぜんっ、ぜんぜん大丈夫ですっ」
彩花の顔はいっきに赤くなる。
ヤバイ。ばれちゃう。
彩花は必死に気持ちを落ち着かせた。




恥ずかしさと、気まずさに耐えられなくて、彩花は先生に一礼すると、慌てて職員室をでた。
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表紙・目次

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