先生

「彩花めっちゃぶつかったなあ」
職員室をでた佐恵子は彩花に笑いかけた。

「う、うん」
彩花の心臓はまだバクバクと激しく音をたてている。彩花は胸に手を当てて、必死に気持ちを落ち着かせた。
彩花は胸に手を当てながら、佐恵子をちらっとみた。
あんな態度をとってしまったし、彩花の好きな人が先生だとばれてしまったんじゃないかと気になったからだ。

「西本先生、さっきの時間体育やったんかなあ。」
佐恵子は何もなかったように話かけてきた。
佐恵子は彩花が西本先生を好きなことに気付いていないみたいだった。
「う、うん。そうみたいやな」
あたしはばれないように注意を払って返事をした。


隣で、昨日のテレビ番組の話を楽しそうにする佐恵子の声に耳を傾けながら、彩花はさっきのことを思い出して、こっそり顔をほころばせていた。





さっき、
ぶつかったとき、先生に抱きついてしまいそうになった。

彩花は最近、先生に抱き締められたい。なんてことを思うようになってしまった。
今まで好きな人ができたことはあるけど、こんなふうに思うのは初めてだった。