パパとわたし
パパは目を丸くした。でもその目はすぐに細くなる。

由依が作ってくれたの?僕に?

よかった。喜んでくれたみたい。

そうだよ。由依が焼いたんだよ。かざりつけも由依がしたんだよ。

今日は由依の誕生日なのに、僕をこんなに喜ばせてくれるのかい。そうだ、待ってて。

突然振り返ったかと思うと、パパは書斎に消えていった。何しに行ったんだろう?
パパはたまに予測不可能な不思議キャラに変わる。


戻ってきたパパの手にはカメラがにぎられていた。

忘れていた。パパは写真好きなのだ。今持ってきたカメラも結構高いものだ。

由依に皿を持たせたり、花をそえたりして何枚も写真を撮るから、気はずかしかった。
でもちょっと子どもみたいで可愛い。

パパは、ひととおり撮り終えてやっと食卓についた。食べるのが勿体ないな、と言いながらフォークを取る。
衣央さんは楽しそうにパパと由依を見つめている。

由依は愛されてて幸せね。

ウインクしながら席につく。
我が家では、衣央さんも一緒に朝食をとっている。いつもという訳じゃないけど、いいことがある日は必ず三人で食卓を囲む。人数は多い方が楽しいし、それにパパがいない時、由依がひとりぼっちになるからだ。
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