パパとわたし
パパにそう言うと、そんなことないよって言ってた。
由依が一番大事だからね、だって。
それはよくわかってるつもり。
だけど、でも時々心配になって確かめたくなる。
ちょっとイジワルなことを言ってみたりする。
パパはそれでもめげずに、由依が大切って言ってくれる。ちょっとかわいそう。

この前の誕生日には由依のために一日仕事をお休みにしてくれたし、七歳になったからって、家庭教師もつけてくれた。しかも二人も。
両方女の人で、ていねいに教えてくれる。大きくなったら由依も研究したいから、毎日がんばって勉強している。
パパが仕事している間は勉強の時間。由依が一人で決めた約束事だ。
無理するなよ、とみんなに言われたけど、由依だけで遊んでてもちっとも楽しくない。だったらそれまでは我慢して勉強する。
みんなががんばるから、由依もがんばろうって思う。
そうして、終わったらコーヒーを出してあげるんだ。
由依は衣央さんのお手伝いだけなんだけど。
お手伝いって、少し大人に近づいたみたいでうれしい。
もっと早く大きくなって、みんなみたいにパパの研究を手伝えるようになりたいな。


今日の仕事は、あと二時間くらいで終わりそうだ。

< 2 / 14 >

この作品をシェア

pagetop