マシュマロ
あいつを壁にぶつけた瞬間、
カバンを取って全力で逃げた。


ああゆう奴は大嫌い。


もう、会いたくない。


あっ…。


お金払ってないや…。


明日、学校で椿に渡せば大丈夫かな…。




「ただいま…。」


誰もいない家に向かって喋りかけたって、
返事は返ってなんかこない…。


両親は2年前、事故死。


1人娘の嬉子は今、貯金で生活してる。


両親がこうなる事を
予測できていたかの様に
コツコツ貯めてきていた貯金。


それは、ちょっとした金額なんかじゃなかった。


父はどっかの会社の社長だった。


母は芸能人。


ありえないお金と権力の持ち主2人が、
必要最低限のお金しか
使わなかったのは…


嬉子が1人になっても苦しまない様に…。


そのお金で今、生活できている。


嬉子もたまにバイトをする。


両親の優しさを形に
とっておきたかった、


今。[慎希くん]の存在、声、顔、仕草…


全部、全部[怖く]なった。


学校っていう、同じ場所に存在する嬉子自身にも怖くなる…。
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