Azure Music
「……嫌い」
「え?」
二人が眉を寄せる。
「音楽なんて、大嫌い」
私には無理だって悟ったあの瞬間から、私の音楽は全部途絶えた。
『川村零』は私の人生を終わらせた。
そう私が思っても、きっと誰も責めない。
きっと他の誰もが同じことを思っているから。
直希が悲しそうな目をする。
「私は、もう、音楽なんて」
途切れ途切れにしか話せない。
今直希がしてる顔は、お母さんと同じような絶望的な顔だ。
「いらない」
そう言って、私は逃げて、自分の教室に向かった。