azure days-ツンデレ彼女とバカ男-
◇
俺は最後の試合で投げ終わって、他の奴らにもう出来ないことを告げた。
機械的言葉しか、出てこなかった。
だれもがみんな、うそだろ?本当か?と言った。
信じられないといった顔で、涙ぐむやつもいた。
俺は言葉少なめに、その場を後にした。
光莉の兄で俺達の先輩だった、光也さんにも挨拶した。
そして最後。光莉を前にしたとき、言わないといけないと思った。
誰よりも俺を見てくれて、誰よりも俺の側にいてくれた光莉だから。
ちゃんと、自分の言葉で言わなくちゃいけないんだ。
言ったあとの光莉の顔は良く覚えている。
目を一度大きく見開いて、それから目線を下げ、そうですか、とつぶやく。
でもすぐに顔を上げて、まっすぐな瞳で俺を見つめて言ったんだ。
「お疲れ様でした。桐野先輩。」
その瞬間、俺は最後に言ったのが光莉で良かったと思った。
光莉は俺の表情で、それが本当だと一瞬にして悟った。
俺がどんな気持ちで言ったのかもきっと分かっていたんだろう。