azure days-ツンデレ彼女とバカ男-




俺は最後の試合で投げ終わって、他の奴らにもう出来ないことを告げた。

機械的言葉しか、出てこなかった。



だれもがみんな、うそだろ?本当か?と言った。


信じられないといった顔で、涙ぐむやつもいた。


俺は言葉少なめに、その場を後にした。



光莉の兄で俺達の先輩だった、光也さんにも挨拶した。




そして最後。光莉を前にしたとき、言わないといけないと思った。


誰よりも俺を見てくれて、誰よりも俺の側にいてくれた光莉だから。



ちゃんと、自分の言葉で言わなくちゃいけないんだ。




言ったあとの光莉の顔は良く覚えている。


目を一度大きく見開いて、それから目線を下げ、そうですか、とつぶやく。


でもすぐに顔を上げて、まっすぐな瞳で俺を見つめて言ったんだ。




「お疲れ様でした。桐野先輩。」




その瞬間、俺は最後に言ったのが光莉で良かったと思った。


光莉は俺の表情で、それが本当だと一瞬にして悟った。

俺がどんな気持ちで言ったのかもきっと分かっていたんだろう。
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