azure days-ツンデレ彼女とバカ男-
光莉は、ただ見つめていた。
俺の顔を。俺の姿を。俺の野球が終わる瞬間を。
真っ黒な、大きな目で。
小学校からやっていて、何よりも好きだった野球。
その始まりのときも、光莉は側にいた。
そして今かけられた、静かな終わりの言葉。
それまで人に涙を見せなかった俺だった。
野球が出来なくなったと知ったときも、涙は出なかった。
だけど初めて、泣いた。
幼馴染の、後輩の、しかも女の子の前で。
それができたのは、きっと相手が光莉だったからだろう。
光莉は黙って、俺を抱きしめた。
泣かずに、ただ、ずっと。
◇