azure days-ツンデレ彼女とバカ男-
「あれでやっと、やめることができたんだ」
「・・・うん」
和明はそれから、高校に入学してからのことを話してくれた。
やめるという事実は受け入れたものの、野球がないことはどうしようもない喪失感を生んだこと。
そのとき、高校に入って一番仲良くなった亮さんが、合コンを開いて、気を紛らわせてくれようとした事。
「そこに走るのはどうかと思ったけど、俺もノリ悪いほうじゃないからさ」
「知ってるよ、それくらい」
和明はあたしのほうを見て微笑んだ。
「・・・でもやっぱり、駄目だったんだ。そんなものじゃ、俺を救えなかった」
何人もの女の子と付き合っても、いくら騒いでも、満たされなかった
。
それほどまでに強い、野球の占有率。
そんな大きいものを無くしたら、あたしならどうなってしまうんだろう?
「そんな荒れきった俺に、光也さんが言ったんだ」
「ミツ兄が?」
「うん。そんなすることねぇなら、俺がハマれること教えてやるって」
ミツ兄が教えれることといえば、野球と・・・。
「もしかして、ギター?」
「そう。で、俺はたまに光也さんに教えてもらってたんだけど、相当夢中になってさ、もう合コンとかもやめたわけ!」
ああ、だから今は違うってことか。