【短】KARA KIRA

わからないと言えば丁寧に教えてくれる。

智広とはそういう人で、海砂もそれを知っていてこうして宿題が出るたびに声をかけるのだ。

だってそうしないとわからないんだもん、というのは海砂の言だが。



彼氏が優等生でよかったね、と散々に言われるほどに頼っているのだが、それを今まで智広に拒まれたことは、ない。



「さぁ?」



ふいっと急に智広が窓と仲良くしだした。

拍子に、さらさらとした真っ黒中身の隙間から覗く、彼の耳。

ほんのりと赤く染まっていることを指摘したら、彼はどうするだろう。



照れる?

慌てる?

それともクールに「そう?」などと返すのだろうか。



きっと最後のだな、と海砂が結論付けたとき、コップの中身を一気に飲み干した智広の手が、テーブルの端にあった灰皿に当たった。

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