sky
「あ、レイン。お疲れー」
階下に行くために乗ったエレベーターから降りると、後方から声をかけられた。
振り向けば、そこには夕焼け色の髪と翡翠色の瞳を持つ、端整な顔立ちの青年が立っていた。
指定のスーツを着くずした格好の青年は、人懐こい笑みを浮かべてカインに近寄って来る。
「今回の依頼、片付いたんだろ?」
「ああ」
「さすがだなー」
無表情のまま短く返事をするカインに、青年は嫌な顔をすることなく会話を続ける。
「実は俺も一段落ついたとこなんだ。な、これから何か食いに行かないか?」
「…いい」
カインがそう答えると、青年は少しがっかりしたようで、表情を曇らせた。
「そっかー…」
二人は一見親しい間柄のように見えるが、実際は青年が一方的にカインに絡んでいるだけだった。