sky
 










「……あのー」

重い空気が流れる中、メリッサが申し訳なさそうに手を上げた。

「……空気読めなくて悪いんだけど、実はカインに報告しなきゃいけないことがあるんだ」

気まずそうに言うメリッサに、俺は黙って彼の言葉を待った。

ララも邪魔をしたら悪いと思ったのか、静かに椅子に座った。


「本当は今日話さなくてもいいと思ってたんだけど……」

メリッサはそこで一度言葉を途切れさせ、ちらりとララを見た。

「?」

しかしすぐに視線をカインに戻し、話を続ける。

「昨日カインが“仕事”した屋敷あるだろ?」

「それがどうした。任務は遂行したはずだ」

「ああ。でもひとつ気になる情報が入ったんだ」





メリッサの表情が険しくなり、纏う空気が変わった。


“仕事”の顔だ。


「あの屋敷によく出入りしていた男がいるらしい。目撃者によると、紅い……」

ガタンッ

「っ……!!」


メリッサがそこまで言った時、大きな音を立てて急にララが立ち上がった。
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