sky
「……」
急に立ち上がったララを、何も言わずに見る。
そんな彼女の顔は、気のせいかもしれないが青ざめている気がした。
……どうしたんだ。
疑問に思ったことを俺が口にすることはなかった。
「ララちゃん、どうした?」
「っ、なんでも、ない……」
俺の変わりにそう尋ねたメリッサの言葉に、ララは首を横に振った。
明らかに、何かある。
カタカタと震え、今にも泣き出しそうな顔をしている。
普通ではないその様子に、メリッサは何かを感じたのだろうか。
「……やっぱりこの話は明日にする」
そう言って立ち上がった。
「……分かった」
「なんか、悪いな。今日はもう帰るよ」
「……ああ」
そしてメリッサはララに目を向け、申し訳なさそうに微笑んだ。
「じゃあまた来るよ。ばいばい、ララちゃん」
「あ……、さよう、なら……」
話しかけられ、ララははっとしたように言った。
メリッサはカインの肩を軽く叩き、ドアへと向かった。
「また明日な、カイン。コーヒーごちそうさま」
そうして来た時とは逆で、静かに帰っていった。