sky
 

「なあ、レインはどう思う?」

話の転換を求めてか、メリッサがカインに尋ねた。

「……俺は」

カインは昨日のララの言葉を思い出す。






『わたしは泣いて……』



『でも、彼は嗤って……!』





「……」










『……ありがとう』












「……分からない。その件についてはお前が調べてくれ」

「……そっか」

分かった、とメリッサは苦笑した。

「ただ」

「……?」

「本当にそいつが黒幕だったなら、俺が始末する」

「えっ?」

カインの言葉にメリッサは思わず驚きを見せた。


「……時間だ」

そう呟いたカインはイスから立ち上がり、ドアへと向かった。

その様子をメリッサはただ黙って見送る。

そしてカインが部屋を出る時、大きめの声で言った。


「っ、何か分かったら連絡するから!」

「……」

一度足を止めたカインだが、彼が応答することなく、バタンと音をたててドアが閉められた。












一人、残ったメリッサは誰に言うでもなく呟いた。

「俺が始末する、か。レインがそんなこと言うなんてな」


そしてポキポキと指を鳴らし、書類を抱えて自分も部屋をあとにした。
< 38 / 54 >

この作品をシェア

pagetop