sky
 











***


コツ、コツ

無機質な靴音が響く一室に男はいた。

血のように紅く長い髪が、彼の歩くリズムに合わせて揺れている。











「紅蓮(グレン)様」

「……」

紅蓮と呼ばれた男は、自分の名を呼ぶ声に反応するかのように足を止める。

振り返れば、そこには黒髪の青年が立っていた。


「何だ、レイヴン」

男は青年に対し、問う。

青年、レイヴンは彼の前に跪き、顔を上げずに言った。

「先ほど得た部下からの情報によりますと、ダレス様の屋敷の者が数日前、何者かによって全員始末されとのことです」

「何……?」

レイヴンの言葉に、男の表情が険しくなる。

「闇の組織の仕業ではないかと……」

「黙れ」

「っ……!」

途端に、男の纏う空気が痛いほどに張り詰めた。

「そんなことはどうでもいい。……アレはどこだ」
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