sky

それでも、さっきの夢の感触がリアルに残っている。


ココロにも、カラダにも。


「ーーっ」

いやだった。

屋敷から解放されても、あの男からは完全に放たれることのできない、自分の心の弱さがわたし自身を未だに苦しめる。


早く、本当の自由を手にて入れたい。


……もう一度つばさを広げ空を飛びたい。


それがわたしの願いで、生きる意味になっていた。


だからあの時、彼の……カインの空色の瞳を見たとき、暗闇だったわたしの世界に色がついた。

あの檻の中で何度も恋い焦がれた、空の色。

とてもやさしくて全てを包み込んでくれる。





だからわたしは彼に縋(スガ)ったのかもしれない。



昨日、何も言わずに抱きしめてくれた腕は温かかった。

それが何よりうれしくて。

ずっとあのぬくもりに包まれていたい。

そう、思った。
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