ホワイトデーの復讐
「お前、苦労してんな」
「おかげさまで。」
えぇ?お姉さん、置いてきぼりにしちゃうの?
「で?その復讐って、何するの?」
彰が切り替えたように言った。
『んー…毒盛られたんだから、盛り返そうよ』
「それ、バレないっすか?」
すかさず満くんにつっこまれる。
まぁ、確かに。敵(溝口さん)と同じ手を使っての復讐だと気づかれるかも。
「あ、そうだ。ちなみに、の話なんだけど」
変な前置きをしてから、満くんは続けた。
「溝口、本命はいるんだよ」
『そうなの!?じゃあその人とくっつけてあげよ!』
「復讐はどうした」
『あ。』
彰に言われて思い出したけど。そうだよ、復讐!
ってか、一瞬前のこと忘れれるとか、あたしって一体…?
『あー…うー…』
どうしよう…ムカつくけど…お腹痛かったけど…キャバ嬢だけど…
『キューピッド、やりたい!』
「おせっかい」
『なっ!』
彰に一喝されてしまった。
『い、いいもん!おせっかいでも!!』
「紗也さん、彰いじけてるんすよ」
耳元でコソッと話した満くん。
『え?』
「紗也さんが溝口のことばっか構うから、相手にしてもらえなくていじけて──…ってぇぇ!?」
「黙れ、バカ」
満くんの声が離れたかと思うと、彰が満くんの耳を引っ張って、あたしから引き剥がしていた。
その顔が、少し焦ってたのは気のせいかな?