ホワイトデーの復讐
『…──じゃあ、満くんは溝口さんの連絡先、聞いてきてね!』
「任せといてください!」
にぱっと笑って、満くんは帰っていった。
そんな彼を、彰と玄関で見送る。
いい子だなー、あの子。ちょっと軽いけど。
「あいつの軽さが役に立ったの初めて」
『いい友達じゃんか』
こっちを振り返って、大きく手を振っている満くんに、手を振り返す。
『可愛いー♪』
「押し倒すぞ、テメェ」
『んな!?』
「ほら、入んぞ」
『えぇ!?』
ひょいっと手首を掴まれ、再び彰の家に入った。
え、てかあのっ…
なんと言いますかっ!心の準備がまだっ…!
「はい」
『へ?』
彼はあたしの前に、ホットココアを置いた。
『な、何…?』
「ココア。お前、好きじゃん」
す、好きだけど…
『覚えてて…くれたんだ…?』
“んな甘ったるいもん、よく飲めんな”って昔に一度だけ言われたけど…
「まぁ。俺のせいで変なことに巻き込んじまったから」
変なこと…溝口さんのことかな?だったらあたしが彰を巻き込んだんじゃないの?
そんなことを考えながら、一口飲む。
口の中にココアの甘さが広がった。
『おいし♪』
きっと、彰が入れてくれたからだよ。