ホワイトデーの復讐



『ど、どうしたの?』



いきなり叫ぶ満くんに、ビックリしながら聞いてみると、



「あれっ、あれ!」



そう言いながら、彰たちを挟んで向こう側を指差す。


フェンスからこちらを見ている、怪しい人影。


よくよく目を凝らしてみると……



『女の子?』



どこかで見覚えのある女の子が、こちらを……違う。彰を見ていた。



「あれ!溝口っすよ!!」



あ、そうだ。見覚えがあると思った。写メ見たじゃん、あたし。


え?じゃあ…何…?


溝口さんの好きな人って……彰?


じゃあその……仲良くしている女って……あたし?



「何してんの?」

「あ、紗也ちゃん!おかえり〜」



あたしと満くんに気づいた彰が、たーくんと共にこっちに近づいてきた。



『た、ただいま…』



チラリとフェンスの方を見ると…



『っ……!』



すごく怖い顔をしてあたしを睨んでいる溝口さんと、目があった。



「おい」

『ほぇ!?』



溝口さんの方ばかり気にしていたせいで、彰が想像以上に近くにいたことに驚き、変な声を出してしまった。



「何その驚き方……っつか、どうかした?」

『え?』

「紗也ちゃん、お顔真っ青だよ?」



たーくんも心配そうな顔をしていた。


あぁ、あたし何してんの。こんな小さな子にまで心配かけて。



『大丈夫。元気だよ』

「よかった〜」



にこぉっと笑ってくれたたーくんにつられて、あたしも笑顔になる。


もう一度、フェンスを見たときには、溝口さんの姿はなかった。







< 23 / 45 >

この作品をシェア

pagetop