ホワイトデーの復讐
『あ、あの…』
目の前には、いつ爆発するかわからない爆弾。………なんじゃないかと思うくらい不機嫌な彰。
まずい。すっごく怖い。
『あの、えと…み!満くんは?』
とりあえず話題作りに、と、出した名前が悪かったのか。
「満?」
ピクリと彰の眉が動いた。
「帰ったけど」
『あ、そ、そう…あは、あはは』
た、助けてぇぇぇ!!
「お前、満が好きなの?」
『へ!?』
いきなり出てきた唐突な質問。冗談だと思いきや、彰の顔は真剣そのもの。
『な、何言ってんの!?そんなワケないじゃん!』
「あっそ」
そして、また無言。
彰ん家に入ってから、これの繰り返しだ。
「で、どうしたんだよ?」
『え?』
口を開いたかと思うと、謎の質問。ってかそれ、聞きたいのあたしだし!!
『どうしたって…何が?』
「さっき。お前の顔色悪かった。拓に無理して笑いかけてたろ」
ば、バレてたんだ…
「何があった?」
………彰はズルい。そうやって、いつもの100倍くらい優しい瞳であたしを見つめて、話させようとするんだ。
でも、今回は。
『なんでもない。大丈夫だよ!』
言わない。だって、あたしのことでしょ?溝口さんのライバルは、あたしだもん。
彰は真ん中にいるんだから、ここで彰に甘えたら、あたしズルしてるみたいじゃん。
女は度胸、正々堂々戦ってやるんだから!