ホワイトデーの復讐



『………。』

「………。」



よ、呼び止めたものの……





ここは駅前のカフェ。あたしが溝口さんを呼び止めて、半ば強引に連れ込んだ。


溝口さんからしてみれば、軽く拉致だよね?


そういった罪悪感から、あたしはなかなか話せないでいた。


おかげであたしたちの周りには、別れ話をしているカップルと同じくらい気まずい雰囲気が漂っていた。



「…なんか、用?」



そんな沈黙を破ったのは、意外にも彼女だった。



『あ、えーと…』

「用がないなら帰るけど。あたしこれから用事あるんだよね」

『キャバクラ?』



あたしの呟きに、彼女は目を見開いた。


って!あたし完璧不審者じゃん!!


なんであたしのこと知ってるの!?って顔してるよー…



『あ、えっと…違うんだよ?そのー…』



ダメだー!あたし、口下手!!



「全部、知っての上ってこと?」

『え…?』

「あたしが下剤入りのチョコ渡したって」



あぁ、あれ下剤だったんだ。



『……どうして、そんなことしたの?』



おかげでめちゃくちゃ苦しんだんですけど!!



「…ヤキモチ、かな」

『ヤキモチ?』

「あたしの好きな人の……一番近くにいたから」



え、でも……彰にチョコ渡してるじゃない。………まさか!あたしがつまみ食いすることも計算済み!?



「でも…失敗。より仲良くなってる気がする」



そうだ……あたしが彰への気持ちに気づいたのも、あの毒チョコのおかげなんだ。



『諦めるの?』



あたしにとっては厄介なライバルだけど。でも、同じ恋する乙女なんだよね。その気持ちは応援してあげたい。………すっごい矛盾してるけど。








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