ホワイトデーの復讐
素晴らしい想像力は、時に壮大な勘違いに繋がります。
「いよいよだね!」
『えー…?』
昼食後の現代社会という、究極に眠気を誘う5時間目の授業が終わり、意識が朦朧となっている中。優花があたしにそう言った。
「えー、じゃないよ!今日はホワイトデーだよ!?」
『そーですね』
「バレンタインの告白に答える、大切な日だよ!?」
『そーですね』
「……彰くんに告白してきてくれるかなー?」
『いいともー!…って、えぇ!?』
お昼のバラエティー番組のノリで、サラリと答えてしまった。
「前決めたでしょーが」
ホワイトデーに気持ちを伝える。確かにそう言った。
『そ、そうなんだけど……状況が変わったの!』
そう、強敵が現れたんだ。
「例のライバルってヤツ?紗也なら負けないって言ったじゃん」
『いや、勝ち負けの方じゃなくて……』
今悩んでるのはそっち、恋愛系じゃなくて。
『すみれちゃんに嫌われたらどうしよう…』
今ではすっかり、メールもしちゃうくらいの仲良しになってしまったんだ。
「紗也ってばー!彰くんとられるのと、すみれちゃんに嫌われるの、どっちが辛い?」
すみれちゃんに遠慮して想いを伝えなきゃ、彰はすみれちゃんにとられちゃう?
彰に想いを伝えたら、すみれちゃんと気まずくなる?
『………どっちもやだー!』
「はぁ…」
優花にため息をつかれるけど、ほんとにどっちも嫌なんだもん。