ホワイトデーの復讐
いつの間にか家の前まで来てて。
そこには…
楽しそうにすみれちゃんと話す彰の姿があった。
「あれ?溝口じゃん。なんで?」
告白、今日だったんだ。
あたしの中で、何かが壊れた気がした。
「紗也さん、なんで溝口……え、紗也さん!?」
目の前にいる満くんが、また慌ててる。そんな満くんがユラユラ揺れて見えた。
あぁ、あたし泣いてるんだ。
告る前に失恋って、ツラいんだけど。
満くんの声に反応した彰とすみれちゃんが、こっちにやってきた。
「ちょ、紗也?どうしたのよ?」
またハンカチを差し出してくれたすみれちゃん。今度はそれを受けとることは出来ず、首を横に振った。
「何泣いてんだよ」
頭上から聞こえる、愛しい人の声。
何泣いてんだよ?あんたのせいじゃない!
『…きらの……彰のせいだよ、バカ!』
「はっ?」
意味がわからないと言った顔をしている彰を、下から睨むようにして見ながら続けた。
『勝手に告白してきて、勝手にあたしのあんたへの気持ちに気づかせて!そこまでして一時の気の迷いだなんてあんまりだよ!!』
…あたしのたどり着いた結論。
彰がずっと好きだったのは、すみれちゃんだったんだ。
今こうやって、楽しそうに話しているのが証拠。
あたしに告白してきたのは、一時の気の迷い……
すみれちゃんに告白出来なかったから、あたしにした、とか、その辺でしょ!!
『もうやだぁ…』
「俺もやだよ」
『何がよぉ…』
ぐずぐず泣いているあたしを見て、心底呆れた表情を見せる彰。
年上のあたしが号泣って……引くよね?
「…泣き顔って結構くるんだけど」
『意味わかんないッ!』
「お前ら……なんとか言ってやれ」