ホワイトデーの復讐
『あー…疲れた…』
やっと解放されたと思ったら、もう放課後。
あたしは家までの道のりを、1人で歩いていた。
だって!優花は神田くんとラブラブなんだもん!!邪魔出来ないじゃない?
「紗也ちゃ〜ん!おかえり♪」
『あぁ、たーくん!ただいま』
家の前で遊んでいた、我が癒しの天使、拓(タク)くん。通称たーくん、5歳。
その笑顔で“おかえり”なんて言われたら、疲れなんてぶっ飛んじゃう!
「あれ?紗也ちゃん、そっちはあっくんのお家だよ?」
たーくんは彰をあっくんと呼ぶ。それがもう、すんごく可愛い。
『うん。ちょっと用事』
「そっかー。じゃあバイバイっ」
『バイバイ』
トテトテ走っていくたーくんを見送ってから、彰の家のインターホンを押した。
ガチャリ、とドアが開く。
『どーも』
「…あがって」
寝てたのか、普段はあまり見ないジャージ姿の彰。
あぁ、超カッコイイかも。
「見惚れてんな」
『ち、違うし!』
こんなこと言うから!素直になれないんだよ!!
ホワイトデーになんて、絶対無理だわ。
そんなことを考えながら、彰の家にお邪魔した。