ホワイトデーの復讐
「何突っ立ってんの?」
リビングに通されて、彰は二人掛けのソファーに座った。
でもあたしは入り口付近で立ち尽くしていた。
「座れば?」
『う、うん』
彰の座っているソファーの向かいに、一人掛けのソファーも置いてある。
あたしはそっちに座ろうと、足を進めた。
「そっちじゃ、遠い」
『え?…きゃっ!?』
ドサリ、と。
『ちょ、何すんの!?』
彰に腕を引っ張られ、彼の座ってるソファーに倒れ込んだ。
「隣、座ればいいじゃん」
無駄に近い彰との距離。と、いうか。
これじゃあたしが彰を押し倒してるみたいじゃない!
「積極的な紗也も好きだけど?」
『いーやー!何言っちゃってんの、あんたぁっ!!』
飛び起きる勢いで彰から離れた。
「んな警戒しなくてもいいじゃん」
しれっとした顔でそう言う彰。
『あんたには前科があるでしょ!』
そう。今年のバレンタインデー。あたしはコイツに唇を奪われたんだ。
「未遂だろ」
『嘘つけぇ!』
「“ここでは”未遂じゃん。誰かのせいで」
そ、それは………
『しょうがないじゃん!食中毒だよ!?』