ひまわり



◇◆Side.健◆◇



ふいに見つめた隣に座る汐莉の横顔。

妙に切なくて寂しくて…


僕が入り込めるスペースが無いような気がした。





「…はぁ~何やってんだ、俺」


小さく呟くと、机に突っ伏した。









――修学旅行まであと一週間…










「…健っ」


汐莉の静かな叫びに誘われるように
僕はゆっくりと目を開けた。



目の前にはドアップの汐莉


思わず心臓が跳びはねる。





「……っとわっははははははは…」

「?」


うるさく騒ぐ胸を抑えながら苦笑いをする。




「どうかした?」


汐莉が不思議そうな顔で首を傾げる。




いや……
どうするもこうするも……

目開けた瞬間、好きな奴の顔が目の前にあったら誰でも驚くだろ……





「…なんでもない」



――はぁ…何やってんだ、俺


本日2度目の深いため息。






「まっいいや^^
それより健、もう16時だよ?」



ガタッ


「……なっ…!!」




驚きのあまり椅子から転げ落ちそうになる。

そんな俺を支えながら微笑む汐莉。



汐莉ののんびりとした笑顔を見たらギリギリの遅刻寸前なのも忘れて

思わず汐莉を抱きしめた。





「…ちょっ……!!健?」


あからさまに動揺する汐莉。

自分から抱きしめたのにも関わらず、
心臓が自分の物ではないように暴れ出す。


小さくなる汐莉をもっと強く抱きしめると
ゆっくり体を離して笑顔を向ける。





「じゃ、部活行ってくるわ!!」

「う、うん…」



真っ赤になる汐莉を置いて俺はダッシュで体育館へと向かった。















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