ひまわり
「健……?」
あたし達のいる、この場所が周りから見えない場所で良かったって本当に思う。
だってね?
健のキスは誰にも見られたくないんだもん。
わーっ!!
あたし、何考えてんのっ?!
バカ、スケベ、変態!!
そういえば、この三つの言葉って
全部健に当て嵌まるよね?
どんだけ狼なのって感じだけど。笑
「汐莉」
健に名前を呼ばれて、閉じていた目をゆっくりと開く。
目の前には健がいた。
目を閉じた健の顔がだんだん近付いてきて、
あたしは自然と瞼を下ろした。
音も無く、健の唇があたしの唇と重なった。
優しくて強くて長いキス――
あれ、キスってこんなに愛を感じるものだったっけ?
目を開けると健の顔が目の前にあったけれど、
大して驚かずにその表情に見入ってしまった。
本当に、羨ましいって何度見ても思う。
整いすぎているパーツ
長い睫毛
筋の通った鼻
女装したらきっと、すごく可愛いんだろうなって
想像してしまったりもする。
「汐莉……可愛い」
唇を離して健はそう言うと、あたしの体を引き寄せ、強く抱きしめた。
「……ぜってぇー離さねぇ」
「………んっ…」
囁かれたと思ったら、上からキスの雨だし
あたしの心臓はバクハツ寸前。
体中から“好き”が溢れて
止まることを知らない。
でもこれだけは言える。
きっとあたしは、健のことがどうしようもないくらい“好き”なんだって。
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