ひまわり
逞は意外といい奴だな~、なんて思う。
……ってアイツ、俺が汐莉のこと好きだと思ってねえか?
それって…やばい。
この想いは何があっても隠し通さなくてはいけない想いだから。
「逞っ!俺は好きなわけじゃないからな」
「分かってるって」
意味深な笑みを浮かべて、自分の席に着いた。
絶対楽しんでるぞ……
キーンコーンカーンコーン
予鈴が鳴り、担任が教室に入ってくる。
僕も席についた。
そこで僕の思考回路は停止した。
なぜなら…
僕の隣の席は汐莉だから。
汐莉が動くといい匂いがして、その匂いに僕はいつも翻弄されてしまう。
「進路表集めるぞ~」
担任が言った。
各自、進路表を教卓まで持っていく。
「……健」
「ん?」
「進路どこ?」
「昨日言ったろ?朝日ヶ丘目指すって」
「…健とまた同じかあ」
「なにその言い方…」
「いや、なんでもない♪」
意味わかんね……
最近の汐莉の言動が僕には理解できない時がある。
「汐莉、進路表かして」
「へ…?」
「いいから」
「え?…あ、はい」
素直に進路表を差し出す汐莉。その姿が少し緊張していたように見えて、可愛いと思った。
僕が自席に戻ってくると、汐莉は口を開いた。
「やっぱ今日の健、変だよ!今日霰でも降るかもね」
「なんだよ…そんなに珍しいか?」
「うん、珍しい」
「即答かよ」
最近思う。
―なんで幼なじみなのか、って。
幼なじみじゃなかったら…普通に恋して、堂々と付き合って……
なんて想像図を描いてしまう。
でも幼なじみじゃなかったら…いいことはたくさんあったのかな。
僕は小さい頃から汐莉が好きだった。
それだけは、誰にも負けない。
.