ひまわり



◇◆Side.逞◆◇


「汐莉ちゃん……話あるんだけどさ…いい?」


健の隣で、健をずっと見つめる汐莉ちゃんを呼び出してみた。

なんで健も気付かねえのかな。
どこからどう見たって、汐莉ちゃんは健のこと……



健はものすごく不安そうで嫌そうな顔をして俺を見つめてきた。
それはまるで、拾ってきたばかりの犬のよう。


俺は汐莉ちゃんを廊下に連れ出した。



「あの……逞くん?」

不思議そうな顔で俺を見つめて言う。
あの、女に媚びたりしない健が好きになってしまう理由がわかった気がした。



小さい子のように、好奇心旺盛な大きな瞳。

二重を強調する長い睫毛。

整ったパーツ。

栗色の髪の毛。




どこを取っても“美人”の一言で片付けられてしまう。顔だけではなく、この性格も。


これこそ、世の中の女子の最上級?
と言えるほど。



「あのさ……汐莉ちゃんの好きな人って健だろ?」


俺の一言に頬を真っ赤に染める。俺は核心をついたようだ。


「…ち、違うよっ……!」

否定はしているものの、視線がかなり泳いでいる。


「ははーん…そういうこと」

「ちょ……逞くんっ…!
好きなんかじゃないからね!」





否定するところが怪しい。
そして、健と同じことを言う。

さらに怪しい……




「わかってるって♪呼び出してごめんな?」

俺はそう言い残して、教室に戻った。




健が心配そうにこっちを見てくる。

でも、なんか悔しいから
健には結果教えてやんね。




てかなんで俺、意地悪してんだ?
意地悪する理由ないよな……











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