ひまわり
担当医の先生が聴診器の音を険しい顔しながら聞いてたことも。
看護師さんが話してた言葉も。
だんだん増えていく薬の量にも。
……あたし、ちゃんと気づいてたよ?
気づいてないって思ってるかもしれないけれど、敏感すぎるくらいに全部全部知ってたんだよ。
でも、先生の言葉を信じて今日まで頑張ってきた。
だけどやっぱり……
健の優しい笑顔見たら、涙が零れないはずがなかったよ。
「…俺がいるから。
ちゃんと俺が汐莉のこと守るから」
健に抱きしめられている全てから、痛いほどに優しさが伝わってきて温かいものが頬を流れた。
「だからさ……汐莉」
「……うん?」
暗闇へと近づく部屋の中であたしは健の澄んだ瞳を探した。
それはすぐそばにあって……あたしを捉えて離さなかった。
「泣きたい時はいっぱい泣けよ」
その言葉にあたしの涙腺はついに故障したようで、頬を流れる雫は止まることを知らなかった。
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