ひまわり



担当医の先生が聴診器の音を険しい顔しながら聞いてたことも。

看護師さんが話してた言葉も。

だんだん増えていく薬の量にも。



……あたし、ちゃんと気づいてたよ?
気づいてないって思ってるかもしれないけれど、敏感すぎるくらいに全部全部知ってたんだよ。



でも、先生の言葉を信じて今日まで頑張ってきた。




だけどやっぱり……

健の優しい笑顔見たら、涙が零れないはずがなかったよ。







「…俺がいるから。
ちゃんと俺が汐莉のこと守るから」

健に抱きしめられている全てから、痛いほどに優しさが伝わってきて温かいものが頬を流れた。




「だからさ……汐莉」

「……うん?」



暗闇へと近づく部屋の中であたしは健の澄んだ瞳を探した。

それはすぐそばにあって……あたしを捉えて離さなかった。





「泣きたい時はいっぱい泣けよ」





その言葉にあたしの涙腺はついに故障したようで、頬を流れる雫は止まることを知らなかった。















< 187 / 235 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop