ひまわり
よし、と小さく呟いてからあたしは荷物の整理に取り掛かった。
担当医には親だけが話をすると言われていたから、のんびり自分のペースで片付けができる。
とは言っても荷物がもともと少ないせいであっという間に片付いてしまった。
仕方なく、時間を余していたあたしは病室を出てロビーへと向かった。
週末の病院のロビーは大勢の人がいて、ざわめいていた。
あたしはベンチに腰掛けてほうっと一つ息をつく。
この病院のロビーにはたくさんの思い出が溢れてる。
桃ちゃんとじゃれあって
キャンディ一つで笑い合って
自分の病気と向き合えなかった日もあった。
健にも何度も迷惑をかけて
病院を飛び出して……
本当にいろんな日々をこのロビーは見てきたはず。
あたしが嬉しい時も、悲しい時も。
全部全部覚えててくれるから。
しばらく思い出を掘り返してから、あたしは病室に戻った。
もう先生の説明も終わってるはず。
いつもよりも幾分か足取りも軽く、通りすがるおばあちゃんやおじいちゃんにだって挨拶を交わした。
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