ひまわり
学校が終わり、部屋のベッドの上で寝転がる。
頭の中に繰り返しリピートされるのは、さっきの汐莉ちゃんの顔。
そして、思うのは健のこと。
「……健も汐莉ちゃんも
両想いなんじゃん。
…だったら早く……付き合っちゃえっちゅーの」
ふと呟いていた。
口ではそう言っている。
だけど心の中では…それを嫌がっていた自分がいた。
健に教えなかったのも
汐莉ちゃんにヒントを言わなかったのも
心がダメって叫んでいたから……
なのかもしれない。
心のどこかで健が羨ましかった。
幼なじみの関係も…
健にだけ見せる表情も…
全て羨ましかった。
♪~♪
携帯が俺の好きな曲を奏でる。
サブディスプレイに映る文字。
『桜井 健』
少し躊躇う。
迷ったあげく、出た。
「…もしもし?」
『―逞か?』
「おう」
『―……あの事だけどさ?』
あの事………
汐莉ちゃんのこと。
「……汐莉ちゃんな…
好きな人いるって」
俺は人生で最大の嘘をついた。
『―……そっか…ありがとな?』
健は本気で落ち込んでいる。
俺はそんな健を見て、安堵の溜め息を溢す。
どこかで
“汐莉のこと好きじゃない”
って言ってくれるのを待っていた。
俺は最低だ。
なんで応援してやれないんだよ…
なんで“頑張れ”の一言も言えないんだよ…
それは、汐莉ちゃんが気になるから?
健は汐莉ちゃんが好きなのに……
人の女盗るなんて最低だ。
俺はいつからそんなに堕ちたんだ?
自然と涙が溢れた。
バカみてぇだよ…
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