ひまわり
内装はとても汐莉好みの雰囲気で、汐莉の部屋にいるような錯覚に陥った。
ふと、僕はある一角に目を留めた。
雑貨を見ていた汐莉を呼び、二人でそこを見る。
そこには……
「あたし、これがいい」
汐莉は二つの指輪を手にすると、小さく笑った。
汐莉の手には、小さなピンクの石と濃い青の石がそれぞれついているシルバーリングが握られていた。
「いいよ」
片方を受け取り、僕は微笑んで言った。
「本当?!」
「結婚指輪までの代わりな?」
目を輝かせる汐莉からもう一つの指輪も受け取り、レジに持っていく。
内心、僕も跳び上がりたいくらい嬉しい。
いずれはあげようと思っていたペアリングが、こんな場所で見つかるとは思っていなかった。
レジに座る優しそうなおばあさんが可愛く包装してくれた後、僕らは雑貨屋さんを出た。
「汐莉?」
「ん?」
軽くスキップをする汐莉を傍に抱き寄せる。
細く白い右手を取り、その薬指に指輪をはめた。
「うわぁ…キレイ」
日の光に手をかざして小躍りする汐莉の姿を見つめ、もう一つの指輪を取り出す。
僕のその作業を見て、
「貸して?」
僕の手から指輪を受けとった。
.