ひまわり



♪~♪~♪



最後の和音が響いて、あたしはギターから手を放した。

このささやかな余韻が好き。




「……なんか嬉しい」

「「えっ?」」



あたしの小さな呟きにみんなが反応してあたしを見つめる。

そんなみんなにそっと微笑んで言った。



「…すごく好き」

「…俺も思った。最初はスゲー嫌々でやってたけど、今は楽しい」

「あたし達さ……バンドやらせてもらえて良かったよね」




あたし達、バンドメンバーしかいない教室には小さな笑い声が響いた。


「あたし……このバンドで良かった。」

「汐莉ちゃん…」

「本番、頑張ろっ?」

「「うんっ!」」




嫌で嫌で仕方なかったバンドも、今振り返ってみればすごく良かったと思ってる。

もう少しで発表の日が来るけど、きっとこのバンドなら大丈夫。

そんな気がするよ。



このバンドなら、あなたにもきっと届く。

あたしに出来るのはただ一生懸命歌うこと…それだけ。


健、どんな顔するかな?

上手いって言ってくれるかな?

喜んでくれるかな?




楽しみにしててね。
きっと…ちゃんと君に届けるから。















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