ひまわり
「明日さ……」
夕日に赤く染まる汐莉の小さな呟きに顔を向けて、僕は小首を傾げた。
小さく微笑んでから汐莉は僕を見つめて言った。
「…朝日ヶ丘festival★一緒にまわろ?」
「ばか、一緒にしかまわらせねーよ(笑)」
「王様キャラ似合わなーい」
「汐莉こそドMキャラ似合わねぇよ?」
赤い空いっぱいに二人の笑い声が響いて、さっきの感情のぶつかり合いが嘘のようだった。
わずかな光は地面に二人の細く長い陰を落としていた。
その陰の手は徐々に近づき、やがて一つになる。
掌からは嫌と思うほど愛が零れて僕の手を伝う。
綺麗な愛のカタチ。
恥ずかしくて口にするのはとてもじゃないけど嫌だけど……。
“愛してる”
って心から伝えるよ。
僕なりの愛ってことだから。
小さい頃からほんの少しだって変わらない。
今も、これからも。ずっとずーっと。
「いきなり一人で笑わないでよ、軽く変態入ってるよ?」
「…うるせーよ」
毒舌な汐莉だって愛しいと思える。重症なのは、僕……かな。
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