ひまわり
ステージの袖に入ると、いよいよ緊張がピーク。
足も震えてきて、必死に堪えないと今にも座り込んでしまいそうになる。
「汐莉ちゃん、掛け声してくれる?」
メンバーからの依頼に必死で頷く。
「……が、頑張っていきましょうっ!!」
「「はいっ!!」」
『―…次はいよいよ最後だあーっ!
トリを飾ってくれるのは3-Bのバンド!
よろしくぅ!!!』
明るい司会の人の声に背中を押されて、あたしたちはステージに上がった。
きっとみんな緊張してる。
あたしだけじゃないんだ。
だから、みんなを信じてあたしは歌うよ。
ステージの上には普段とは見馴れない光景が広がっていた。
眩しいくらいのスポットライト。
笑顔ばかりの客席。
……あ、健。
客席の一番前のド真ん中で恥ずかしそうに微笑みながら。
ガ・ン・バ・レ
確かにそう言った。
その合図にあたしは力を貰って、ステージに立った。
.