ひまわり
「………ばか」
みるみるうちに頬を赤く染めていく汐莉の手を取る。
そして、白く細い指に指輪をはめる。
それは案外ぴったりで正直嬉しかった。
「汐莉、返事は?」
なかなか話そうとしない汐莉に満面の笑顔を浮かべていたずらに言った。
「よろしく…お願いします……」
「了解」
これ以上汐莉で遊んだら後が怖いから…っていうのは嘘で。
本気で汐莉を抱きしめる。
優しい汐莉の香りがした。
微かに見えた、汐莉の瞳に溜まる涙。
それは悲しい涙?
嬉しい涙?
まあどっちにしろ、汐莉はすぐ泣くから僕が守るって決めた。
“これからは今までよりも汐莉の近くにいてやるからな”って。
抱きしめた汐莉の背中にそう誓った。
こんなくさい台詞。
口にしたら恥ずかしすぎるから心で誓った。
伝わっていることを願って……。
ひらひらと光のように降り注ぐ桜が、僕らを包んで。
周りから見えないように隠してくれた。
「あのね……健?」
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