ひまわり


『―卒業生……退場』


アナウンスが流れてあたしたちは退場する。




偶然にあたしは健の隣を歩くことになった。

身長差が激しい。



あたしは154㎝なのに対して、健は177㎝。
ある意味、いじめだよ……笑

チビに対する侮辱。笑




あたしは涙が止まらなくて前なんか見れずに、歩く。

「…汐莉、泣きすぎ」

「…だって……ぇ」


健が言ってくる。
止まらないものはしょうがないじゃない!!




ぎゅ…


体育館を出たあと、ふいに抱き締められた。



「へ?……ちょ…」

「お前、泣きすぎだから…
 泣き止んだら離す」



健の優しい声がした。
余計に涙が溢れる。



嬉しいのと別れが辛いのと……
いろいろ。




「……た…ける?」

「泣き止んだか?」

「……う、ん…」

「おし。行くか」



健はあたしを離すと、頭をポンと撫でてから歩き出した。


実はまだ離してほしくなかったり…




健の制服の裾を掴む。

一瞬、健は振り返って…制服を掴むあたしの手を握った。



心臓がドキドキいう。

健の手が大きくて温かくて……
また涙が出そうになる。




あたしは幼なじみだから手握ったんだよね……?

どうか、そうでないことを願う。




叶うはずなんてないのに……









教室に戻る。
みんなワイワイガヤガヤ寄せ書きしたり、写真を撮ったりしていた。




「…じおり~……(涙」

あたしの名前らしきものを呼ぶ声がした。


「ふえーんっ……
 卒業やだあっ」



可菜だった。



「ね、健。この子どうしよっか?」

健に訊ねてみる。


「汐莉、神藤にかまってやれば?笑」

少し苦笑いで健が言う。


「あはは、そうだね?」



自然と離れる手。
なぜか、寂しかった。









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