ひまわり
「なぁなぁ、友達にならん?」
席についてすぐ、後ろの席の人に声をかけられた。
あたしの席は、廊下側の列の前から3番目。
腐れ縁で、同じクラスのうえに隣の席は健。
健と二人で話していたところで話しかけられたから
あたしも健も少し唖然としてしまう。
「あ、突然ごめんな?
ウチな、木下里琴てゆうねん。
里琴て呼んでな!よろしくな?」
木下 里琴 キノシタ リコ
明るくて、笑顔が少女みたいで
バリバリの大阪弁の可愛い女の子。
「へ?あたし?」
「そうやよ。あと、そっちの人も」
里琴、と名乗った子は健を指差してそう言った。
心なしか、少しだけ里琴の色白の肌がピンク色になった気がした。
気のせいだよね……?
精一杯の笑顔で自己紹介。
「あたしは、神崎汐莉。
汐莉って呼んでね?」
「俺は桜井健。健て呼んで」
健もあたしにつられて自己紹介。
「仲良くしてな?」
「うん!!」
「おう」
里琴の呼び掛けの返事がハモる。
里琴は不思議そうな顔をして、ぷっと笑った。
それから
「二人ともすごいなあ!!
汐莉と健て、付き合っとるん?」
と言った。
予想外の言葉に驚いてあたしの心臓は飛び上がる。
「…違うよ。なあ?」
顔色一つ変えずに健は平然と里琴に言った。
健に同意を求められてあたしは反射的に頷き、うん、と返事をする。
あたしの心は、チクン、と何かが刺さったように痛んだ。
「そうなんか!
めっちゃ仲良かったから
てっきり付き合っとるんかと思った!!」
里琴が笑って言う。
笑うと、少し大きめの八重歯が顔を出す。
とにかく、可愛い。
里琴は健のことが好きなんだろうな…
と感覚的に思ってしまった。
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