ひまわり


「ねぇ、健?」



汐莉が僕を呼ぶ。

「ん?」

「あの……ごめんね…」





僕の頭の上に?マークが飛ぶ。

なんで謝ってんだ?


汐莉、謝るようなことしたっけ?




「なんで?」

「試合……出れなくしちゃって…」



汐莉の頬に再び涙が伝う。
僕はその涙を拭って言った。





「…汐莉は悪くないよ」


そうだ。
汐莉は全然悪くない。

僕は『汐莉を守りたい』一心で
行動しただけだから…




「泣くなよ…?大丈夫だから


 試合なんかまた次頑張ればいいんだよ




 ………な?」




試合より大切なもの見つけた。



僕の一番の大切なものは………

汐莉だけだよ?



僕の言葉に涙を流しながら頷く汐莉が…

黒目がちの大きな瞳で見つめる汐莉が…



一番大切なんだ。






「健……ごめんね…」


「汐莉?」


「………ん?」


「謝りすぎ」


「ごめっ………ぁ」


「また謝ってる」


「ご……あはは」




やっと笑った。
汐莉の笑顔見れないと元気出ないんだよ……

だからずっと笑ってて?




「「あのさ…」」


二人で声がハモって笑う。



「汐莉から言って?」

「あたし大したことじゃないから
 健から言って?」



これ言ったら…汐莉、引かねぇかな?


“あたしも思ってた”
って言うかな?







僕は緊張しながら言った。





「傍にいて?」










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