ひまわり
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「……井…!…桜井!」
どこからか声が聞こえる。
僕の名前を呼んでいるようだ。
現実の世界と夢の世界の境界をさ迷いながら、僕は小さく返事をした。
バシッ
「痛っ…痛いんだけど!」
一気に現実に引き戻される僕。
目を開けると…
数学教師が僕の席の前に立ち“そいつ”を持っていた。
“そいつ”というのは、数学教師名物のかなりの量の新聞紙を丸めて棒状にした、いわゆる“お仕置き棒”みたいなもの。
これは……地獄絵図?
助けを求めようと周りを見回すと、隣の席の汐莉は苦笑いだし、クラス中のやつがそっぽを向いてる。
は……白状者っ…!
僕の目の前には額に脂汗をかき、今にも暴れだしそうな数学教師。
逃げ場ねぇし……。
…―まさにゴリラだ…。
なんて思ったのもつかの間、教師から与えられたものは僕の自由なんかではなく、もう一発のお仕置きと放課後のお呼び出しだった。
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