ひまわり


「え……どういうことですか?」


あたしが訊ねると、
桃ちゃんのお母さんは瞳にうっすらと
涙を浮かべながら話した。







「桃は……
 あと5年も生きられるかわからないの……



 小児がんでね…」


小児がん?
たまにテレビで見る、あれのこと?



桃ちゃんは小児がんなの……?



「嘘…」



知らず知らずのうちに涙が頬を伝った。





「2歳の時に発症してそのままなの…


 まだ転移はあまりしてないから
 進行は早くないんだけれど…


 あとどれくらい生きれるかわからないわ…

 お医者さんも頭を悩ませるくらい難しいんだって……





 そして治る見込みは……











 ………ないって」





あたしは耳を疑った。
だって、今の医学なら
ほとんどの病気は治るはず。


なのに…?
桃ちゃんの病気は治らないの?



おかしいよ、そんなの。





桃ちゃんだけなんて不公平だよ……






あたしと桃ちゃんのお母さんは
二人で静かに涙を流した。









神様は不公平だ。


“死にたい”と思う人は
長く生かすくせに、


“生きたい”と強く思う人は
すぐに切り捨てる。




そのくせ、周りを悲しみのどん底に陥れる。


願いを叶えてほしいときには
いつも不在で叶えてくれはしない。






桃ちゃんの代わりになれるなら、
あたしがなりたい。


桃ちゃんに重荷を持たせるのは
あまりに酷だから……。

悲しすぎるから……。





神様……一つだけ願ってもいい?

どうか、桃ちゃんは…

桃ちゃんだけは連れていかないで……




流れ星に願えば叶うなんて嘘、
流したの誰だっけ?



叶わないじゃん。






嘘じゃないと言うならば、
叶えてみせてよ?









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