ひまわり
「ありがとうございましたー!」
全員での挨拶も終わって、みんなが帰り出す。
あたしもカバンを持って歩き出した。
「しーおりっ?」
名前を呼ばれて振り返る。
あたしの斜め後ろには
満面の笑顔の里実がいた。
「元気ないぞっ?」
里実の笑顔には人を笑顔にするパワーがあると思う。
だってあたしが笑顔になれたから…
「里実?」
「ん、なぁに?」
首を傾げる里実にあたしは
“ありがとう”
と言った。
里実は照れたように笑って、
あたしに“こちらこそ”と返した。
「「ばぁーか^^」」
里実とお互いに髪の毛をくしゃくしゃっとして笑顔になる。
里実、ありがとう…
あなたがいてくれたから
あたしは健を信じることができるのだと思う。
里実があたしのジャージの裾を引っ張る。
振り返ると、里実が健を指差して言った。
「汐莉?
……あたしが言えることじゃないけど…」
「健のこと…信じてみなよ?」
里実の言葉が深く深くあたしの心の奥に突き刺さった。
そして、ゆっくりと溶けていって……
あたしの勇気に変わった。
「ほら!今しかないよっ
早く行きな!!」
里実の力強い言葉と腕に押されて
あたしは健にぶつかった。
そりゃあもう…
バッチリ目が合いましたとも……
バッチリと……
健の真っ直ぐな瞳に見つめられると
あたしの正気があっという間に崩れ去る。
そして感じること…
“やっぱり健が好きなんだな”って。
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