ひまわり
◇◆Side.汐莉◆◇
「神崎さん、神崎汐莉さん……
2番診察室までお入り下さい」
あれから、2年の月日が流れ…
高校に入って3度目の桜がみんなの周りに舞い散る頃――…
あれから……
健が部長になったあの日から――…
あたしはバスケ部のために生きると決めた。
今のバスケ部は、新3年生が9人で運営している。
マネージャーは里実とあたしの二人。
新2年生は、5人でマネージャーはいない。
だから、バスケ部は新2・3年生が中心となって運営している。
ところで、あたしは……というと――…
今、担当医を目の前にして待っている状態。
担当医はあたしの心電図の波形とにらめっこをしている。
あたしの病気は、ずいぶん前に
“拡張型心筋症”
だと言い渡された。
治療の術はなく、アメリカでの心臓移植しか道はなかった。
その心臓移植を受けないのなら
あたしに残された時間は……
5年だった。
あたしの家に心臓移植をできるようなお金なんかないし、
もし仮にあったとしても心臓移植をさせてくれるわけがない。
それなら、あたしは……
“今”を生きると決めた。
今を生きて、生きて……
誰か……人のためになれるように…。
あたしにはそれしか、道はないから……
精一杯、あたしらしく生きると決めたんだ。
「汐莉さん……」
担当医があたしの名前を呼んだ。
そして……………
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